Ⅰ 概 要
・投資のプロセスで、最も重要で難しいのは投資案の評価と選択です。
この意思決定がうまくいけば好業績がもたらされます。
しかし、失敗したときには損失も大きくなり、企業の死活問題にもなり得ます。
しかも、一度投資がされると簡単には変更できないので慎重に判断することが求められます。
・正味現在価値法は投資によって、将来得られるキャッシュフローの全てを現在価値を割り引くことによって計算した現在価値合計から、初期投資額を差し引き、正味現在価値を求める方法。
・正味現在価値がプラスであるときは、その投資は価値を生み出していると判断します。
・また、複数の投資案がある場合は、正味現在価値が大きい案件ほど有利であると判断します。
・正味現在価値法は、現金の時間価値を考慮している点で優れており、現時点では最も利用価値の高い投資評価基準と考えられます。
Ⅱ 現在価値と将来価値
投資の評価では、お金の時間的価値を考える必要があります。
現在の100万円と将来の100万円の価値を考えてみます。
「今100万円もらえるの(A)」と、「1年後に100万円もらえる(B)」のでは、どちらに価値があるのでしょうか?
例えば、銀行金利が年利10%だったとすると、(A)は1年後には10万円の利息がついて、110万円となり(B)より10万円多くなります。
①現在価値への割引
現在価値は将来のお金を現時点の価値に換算したものです。
②現在価値の計算方法
1年後の110万円を、割引率10%で現在価値に割引くと100万円になります。
そこで現在価値に割引く計算式は

※下記の計算式参照
Ⅲ 正味現在価値の計算式
正味現在価値はフリーキャッシュフロー(FCF)の現在価値として計算します。
・新規設備を300万円で購入
・この投資により3年間に渡って毎年100万円の
キャッシュ・インフローを得ることができると予想される
・資本コストは10%とする
計算(千円未満切捨)
NPV=100万円×1÷(1+10%)=90.9万円(a)
=90.9万円×1÷(1+10%)=82.6万円(b)
=82.6万円×1÷(1+10%)=75.1万円(c)
合計(a)+(b)+(c)=248.6万円
NPV=248.6万円ー300万円=△51.4万円
NPVがマイナス51.4万円なので、この投資すべきではないと判断します。