【 経験曲線効果(experience curve effect)】






Ⅰ 概 要

経験曲線効果とは経験と効率との間の関係を示す経験則です。

一般的に個人や組織が特定の業務・作業について経験を蓄積するにつれて、より効率的にその課題をこなせるようになることを指します。

また累積生産量の増加に伴って、製品数量ごとの間接費を含めた総コストが予測可能な一定の割合で低下していくことを指します。

一般的に、累積生産量が2倍に増えると、単位当たり生産コストは20~30%低下すると言われています(割合は業種により異なります)。



Ⅱ 経験曲線効果の主な要因

①作業者の習熟度
作業者が特定の作業を反復し繰り返すため、作業の経験を積み、効率的に作業を行うことができます。
何事も「初めて」行うことよりも、「反復し」行うことの方が効率的に行えると考えられます。

②作業方法の標準化
繰り返しの作業であるため、作業方法を標準化(マニュアル化)することができます。
マニュアルが確立されますと、標準的な作業について効率的な作業が可能となるとともに、歩留まり率も向上します。



Ⅲ 備 考

同様の効果が製造業やサービス業でも見受けられます。

例えば、飲食店で考えた場合、OPEN(開業)したばかりですとスタッフが大勢いても、何とか店を回せる程度ですが、時間が経つにつれて、接客能力や店舗運営の改善など様々な効率化を図ることが出来るようになり、オペレーションの無駄も減らせ、少数のスタッフでスムーズに店舗運営が出来るようになります。

これも経験曲線効果と考えられます。

また規模が小さな企業であるにもかかわらず、大企業に対抗してある製品市場で大きなシェアを占めているような場合は、多くの場合この経験曲線効果が関係していると考えられます。



他社に先駆けて積極的に投資を行って生産量などを増加させることで、コスト優位性を築いて、市場シェアを増加させ、高い収益を確保する戦略を取ることができるのです。

ただし製品や生産方法が頻繁に変更されるような場合や新技術が頻繁に採用されるという場合、経験曲線効果は働かなくなりますので注意が必要となります。