Ⅰ 概 要
将来に渡って、企業の事業がいかにあるべきかを示した企業の事業領域です。
「誰に」「何を」をどのように提供するかを定義するのがドメインになります。
Ⅱ 意 義
ドメインを定義する目的としては下記があります。
①意思決定を明確にできる(事業展開の発案のベースが提供される)
②経営資源を集中できる(自社の経営資源を考えどの領域で強みを発揮できるか)
③組織を一体化できる(事業の方向性や組織など一体感ある行動がとれる)
※経営資源とはヒト・モノ・カネ・情報を指します。
Ⅲ 設定の範囲
ドメインが広すぎると競合が多くなり、経営資源などを分散してしまいます。
逆に狭すぎると対象市場が小さすぎて事業が成立しなくなる可能性があります。
広すぎず、狭すぎずと適度な範囲にすることがポイントです。
Ⅳ 影 響
例えば、映画会社が、自社のドメインを「映画の製作」と定義すると事業活動の範囲が狭くなり、現在の事業領域を超える発想がしにくくなります。
しかし、映画会社が自社のドメインを「エンターテイメント」と定義するとアメリカのエンターテイメント産業のように発展していくことが可能となります。
美容室でも、「美容室」というドメインよりも、「美容・人を美しくする」というドメインの方が将来の発展可能性があります。
一方、ドメインが抽象的過ぎると、ターゲットの顧客や事業が不明確になりやすいという問題も起こり得ます。
Ⅴ 企業ドメインと事業ドメイン
複数事業を展開する企業においては、「企業全体の企業ドメイン」と「事業ごとの展開領域である事業ドメイン」の2つがあります。
Ⅵ ドメインの転換
ドメインは一度定義したら変更しないものではなく、事業環境などの変化に応じて変更していくことも必要です。
例えば、IBMは以前は売上の大半が大型コンピュータでしたが、ハードの競争激化という環境変化に直面して、自社を「コンピュータ事業」とは定義せず、「顧客の経営変革を支援する事業」と定義しました。
その結果、現在のIBMの売上はサービスやコンサルティング、ソフトウェアが主力になっています。
経営変革に成功して業績を向上させたのです。
つまり、事業を顧客の視点でどのように定義するかで、企業の将来は決まる可能性があるということです。