【 用語集 あ行 】


【あ】

ROI
Return On Investmentの略。
投資した資本に対し得られる利益の割合(%)のこと。利益を投資額で割ることにより算出する。
ROI(%)=利益÷投資額

RC造(鉄筋コンクリート造)鉄筋コンクリートを用いた建築の構造または工法のこと。
鉄筋コンクリート構造は二種類に大別され、柱と梁で構成するラーメン構造、壁面と床版など平面的な構造材で構成する壁式構造がある。

アセットマネジメント

株式、債券、短期金融商品、投資用不動産など投資用資産の管理を実際の所有者・投資家に代行して行う業務のこと。

アフターサービス条項

販売業者や建設業者が、商品や建物を売った後の一定の期間、保守点検や修繕等のケアをすること保証する契約のこと。




【い】


委託管理

マンションやオフィスビルなどの共用部分や共用施設の維持・管理を専門会社に依頼して行うこと。

一般定期借地権
契約の存続期間を50年以上と定め、更新、建物買取請求、建物の築造による存続期間の延長のない旨の特約を要件とする借地契約のこと。

一般媒介契約

依頼者が複数の不動産業者(宅建業者)に、媒介や代理を依頼することが許される媒介契約の一形式。「明示型」と「非明示型」があり前者は、依頼者が他の業者にも重ねて依頼した旨を告げる義務があり、後者はどこの業者に依頼しようとも、告知する義務のない。

イールドギャップ

投資利回りと長期金利との差のこと。
「不動産の利回り-借入金利」=イールドギャップとなる。
10%の利回りが期待できる1000万の物件を、3%で1000万借入する場合はイールドギャップ10-3=7%になる。イールドギャップが高ければレバレッジがかかるということになる。

インカムゲイン

不動産に投資することにより安定的、継続的に受け取ることのできる現金収入(収益)のこと。
不動産投資による家賃収入のこと。

インフレヘッジ

物価上昇(インフレ)による保有資産の目減り(減価)を回避する手段のこと。
具体的には、一般に現金や預貯金、公社債などはインフレに弱く、不動産や株式、金などは長期的にはインフレに伴って値上がりするため、そうしたインフレに抵抗力があるとされる資産に投資することをいう。





【う】

運用資産
運用により利益を生み出すために保有されている資産を指す。
具体的には預貯金、商品有価証券、金銭の信託、有価証券、貸付金および土地、建物のことを指す。





【え】

営業保証金
宅地建物取引業者が営業を開始するにあたり、相手方の保護を目的とした保証金のこと。
これは宅地建物の取引に関し、宅地建物取引業者の信用を担保し、万一事故が生じた場合にそこから損害賠償等の支払いを受けられるように保証金を供託しておくシステムをいう。

VRIO(ブリオ)分析





〈目次〉


Ⅰ 概 要

Ⅱ VRIO分析の4つの問い(要件)

Ⅲ 問いかけのフロー

Ⅳ まとめ




Ⅰ 概 要


VRIO分析とはJ.B.バーニーが提唱した戦略分析のフレームワークのことです。

企業の保有する独自の経営資源を競争優位の源泉として考えて、その経営資源や組織能力を分析し、持続可能な競争優位を築くための戦略分析のフレームワークのことです。





Ⅱ VRIO分析の4つの問い(要件)


バーニーは「VRIO分析」で持続的な競争優位を築くための経営資源の要件を整理しました。
VRIO(ブリオ)とは、4つの問い(要件)の頭文字を並べたものです。

4つの問い(要件)

 ・『 経済価値(Value)』・・・企業の保有するその経営資源は経済的価値を生み出すか? 

 ・『 希少性(Rarity)』・・・その経営資源には希少性があるか?

 ・『 模倣困難性(Inimitability)』・・・その経営資源はマネされにくいか?

 ・『 組織(Organization)』・・・その経営資源を生かすための組織・体制はあるか?

 の順番で、その企業の持つ様々な強みを問いかけることで、その経営資源が強みなのか弱みなのかを判別します。

この4つの要件を満たした経営資源を持つことは、持続的な競争優位につながります。





Ⅲ 問いかけのフロー


VRIO分析の問いかけでは、

1)経営資源に価値があるか(Value)?


最初に「経営資源に価値があるか?」の問いかけをします。

この回答がNO場合は、「競争劣位」となります。

この回答がYESの場合は競争均衡となり、企業の保持する経営資源がその企業の外部環境(脅威・機会)に適応することが可能ということとなります。

企業の経営資源に経済的価値があると判断されるのは、

当該企業がそれらの経営資源を保持していなかった場合と比較して

 ①企業コスト(支出)が減少する。

 ②企業の収益(収入)が増加する。

のいずれかの場合です。

ただし、経済的価値があるが、希少でない経営資源は、競争均衡を創出できるが、競争優位の源泉にはなりません。

当該経営資源を持たない企業は、競争劣位に陥り、低い経済パフォーマンスしか享受できません。



2)その経営資源に希少性はあるか(Rarity)?

次に「その経営資源は希少であるか?」との問いかけをします。

この回答がYESの場合は「一時的な競争優位性」があるとされます。

経済的な価値があり、希少性を有していれば、少なくとも一時的競争優位の源泉になります。

一時的競争優位は競合他社の模倣戦略のよって失われる短期的な優位性です。
(なお、保有する経営資源が「希少」でも「価値」がなければ競争優位にはなりません)

この希少な経営資源は独自性のある接客対応など社内マニュアル化されたものも該当します。

しかし、マニュアル化のように形式知化されているもの経営資源は比較的容易に模倣することが可能ですので、模倣されると競争優位性を維持することが困難となります。



3)その経営資源は模倣が困難か(Inimitability)?

次に「その経営資源は模倣が困難か?」と問いかけます。

「経営資源に関する問い」、「希少性に関する問い」、この「希少性に関する問い」の全てにYESと答えられるものが持続的競争優位性があることとなります。

経済的価値があり、希少性があり、他社が容易に模倣できなければ、当該経営資源は、持続的競争優位性の源泉となり得ます。

持続的競争優位性は、競合他社の模倣戦略によっても失われることのない長期的な優位性です。

企業にとって、『最も優先順位の高い重要な強み』です。

競争優位の源泉である特殊な経営資源の外部からの調達可能性が低く、その調達コストが高いほど、それを調達済みの企業はコスト上優位になり、競争優位性を長期的に維持できる可能性が高くなります。



4)その経営資源は組織的に管理されているか(Oraganization)?

最後に「その経営資源は組織的に管理されているか?」を問いかけます。

企業の競争優位は当該企業の保持する経営資源の経済的価値、希少性、模倣困難性により決まります。

しかし、職人技や暗黙知が組織的に共有されていなければ、それらを有する技術者が退職してしまえば企業はその競争優位性を失ってしまいます。

そこでこの問いにYESと答えられることが重要となります。

このとき「経営資源は持続的な競争優位性を最大化」していることとなります。

例えば、トヨタ自動車やゼネラルエレクトリック社などの優れた生産管理手法は研究されたり、様々な書籍で紹介されたりしていますが、この方法を真似しても、これらの企業の生産効率を実現することは困難です。

なぜなら、これらの手法は何十年もかけて組織的に取り組まれてきたもので、その歴史や経緯によって醸成されたカイゼン文化、組織文化など複数の要因が合わさることで競争優位につながっており、容易に他社には模倣できないなどの理由があります。



このように持続的競争優位性の源泉は、企業の独自の歴史的条件(※1)にあったり、競争優位となる原因が不明(※2)であったりすることにあります。

※1:企業の独自の歴史的条件とは、特定の経営資源の獲得・開発・活用する能力は、その企業の歴史的経緯に依存しているので、先行企業は持続的な競争優位を得やすい(NTTの電線やJR各社の一等地の不動産など)

※2:競争優位となる原因が不明とは、「因果関係不明性」といいます。
内部関係者にとってその経営資源が当然なものであったり、経営資源が個別に分離しにくく一体となって競争優位を作り出していたりすると企業が保有する競争優位と経営資源との関係が不明確になり模倣困難になります。




Ⅴ まとめ


VRIO分析は「経済価値(Value)」「 希少性(Rarity)」「 模倣困難性(Inimitability)」「 組織(Organization)」の4つの問いを検証し、SWOT分析の補完分析としてS(強み)の分析に用います。

企業の持つ様々な強みを4つの問いかけをすることでふるいにかけ強みの優先順位を明らかにします。

なお、自社にはないから出来ないと考えずに、無い場合にはここに該当するものを創るということを考えることも重要です。






【 クラウドファンディング 】






Ⅰ 概 要


従来は両親や知り合いからの融資、日本政策金融公庫や民間の金融機関などによる融資、ベンチャーキャピタルの出資といった方法が一般的でした。

しかし、新たな資金調達方法としてクラウドファンディングという方法があります。

クラウドファンディングとは、Crowd(群衆)×Funding(資金調達)を組み合わせた造語で、インターネット上で不特定多数の人からお金を集める仕組みのことです。






Ⅱ 種 類


クラウドファンディングは大きく分けて非投資型の「購入型」「購入型」、投資型の「融資型」「投資型」といった4つの種類があります。


1)購入型クラウドファンディング(非投資型)


2020年時点での国内におけるクラウドファンディングの大多数がこれにあたります。


購入型クラウドファンディングは、あるプロジェクトに対してその起案者は目標額と期限を設定し、支援者がお金を提供するという仕組みです。

支援者はリターンとして、そのプロジェクト起案者の商品やサービスを得ることが出来ます。

購入型クラウドファンディングは必要な資金調達だけでなく、新たなマーケディングやファン獲得という効果も期待できます。

例えば、あるアイデアを元にした商品開発プロジェクトのために、購入型クラウドファンディングを行った場合、どういった層の支援者が集まるかなど開発前のマーケティング調査に利用できますし、その商品プロジェクトを金銭的に応援してくれる支援者はその商品のファンになってくれる可能性があります。



2)寄付型クラウドファンディング(非投資型)


寄付型クラウドファンディングは、あるプロジェクトに対して支援者がお金を寄付する仕組みのクラウドファンディングとなります。


ここで集まった資金は全額寄付となるため、基本的にリターンとして商品やサービスの提供は支援者にありません。

プロジェクト起案者、支援者ともに被災地支援や病気の子供たちの支援など純粋な社会貢献を目的としているプロジェクトが多いのが特徴です。



3)融資型クラウドファンディング(投資型)


融資型クラウドファンディングは複数の個人(投資家)から小口の資金を集め、それを大口化して借り手企業に融資する仕組みです。

基本的に利率が決まっており、毎月金利が支払われることとなります。資産運用側面があるのでソーシャルレンディングともいいます。


少額から支援でき、銀行預金より金利は高いですが、借り手企業が返済できない状態になることもありますので注意が必要です。



4)投資型クラウドファンディング(ファンド型・株式型)


①ファンド型クラウドファンディング

あるプロジェクトの起案者は、事業に対してファンド(基金)として支援者からお金を募集する形態です。
支援者は、その事業が生んだ利益に応じた分配金を受け取ります。

融資型クラウドファンディングでは、お金を借りて支援者に利払いしますが、ファンド型クラウドファンディングでは利払いではなく分配金です。

利益に応じて分配金が変動するため、事業が成功するか否かで大きく異なります。



②株式型クラウドファンディング


株式投資型クラウドファンディングは非上場企業(資金提供先企業)の株式を取得できる仕組みです。


個人が非上場企業の株に投資できる機会は限られていましたが、個人が少額でも非上場企業の株式に投資できるようになりました。

初期段階から応援でき、将来的にリターンとして売却益を得る可能性ができるというメリットがあります。

さらに要件によっては、エンジェル税制の優遇を受けられます。

ただし、上場企業ではないので、途中で売却しようにも売却先がなかったり、株式の譲渡制限が付されていたりなどリスクもあります。

また資金調達をしたい企業は年間に1億円未満、また投資家は1社に対する年間投資金額が50万円までといった限度額があります。(1億円を超えると有価証券届出書の提出が必要になることや投資家保護などを考慮してされています)







Ⅲ 募集方式


クラウドファンディングの募集方式は2種類です。All-or-Nothing方式とAll-in方式があります。

1)All-or-Nothing方式


募集目標金額が達成した場合のみプロジェクトが成立します

・目標金額を達成した場合のみに支援金が受け取れます
・目標金額を達成した場合のみ支援者にリターンを履行する義務が発生します
・目標金額を達成しない場合は、支援がキャンセルされ返金されます


※「All or Nothing型」は、目標金額を達成しない限り実行できないタイプのプロジェクト(店舗や商品を開発するなど)に向いています。



2)All-in方式


目標金額に達しなくてもプロジェクトの成立が認められます

・目標金額を達成せずに終了した場合でも集まった分だけ支援金を受け取れる方式です
・支援されたリターンは履行する義務が発生します
・集まった支援金額に関わらずプロジェクトを実施しなければなりません

「All In型」は、資金募集開始時点で、すでにプロジェクトが実現可能であると決まっているものやリターンを行えることが決まっているものに向いています。

※集まった支援金に対してクラウドファンディング会社に手数料を支払います。
 詳しくは各クラウドファンディング会社に確認してください。






Ⅴ まとめ


クラウドファンディングは起案者側・支援者側の双方にそれぞれメリット・デメリットがありますので、内容などをよく吟味し、行うか否かを含めて検討することが重要です。






【 経験曲線効果(experience curve effect)】






Ⅰ 概 要

経験曲線効果とは経験と効率との間の関係を示す経験則です。

一般的に個人や組織が特定の業務・作業について経験を蓄積するにつれて、より効率的にその課題をこなせるようになることを指します。

また累積生産量の増加に伴って、製品数量ごとの間接費を含めた総コストが予測可能な一定の割合で低下していくことを指します。

一般的に、累積生産量が2倍に増えると、単位当たり生産コストは20~30%低下すると言われています(割合は業種により異なります)。



Ⅱ 経験曲線効果の主な要因

①作業者の習熟度
作業者が特定の作業を反復し繰り返すため、作業の経験を積み、効率的に作業を行うことができます。
何事も「初めて」行うことよりも、「反復し」行うことの方が効率的に行えると考えられます。

②作業方法の標準化
繰り返しの作業であるため、作業方法を標準化(マニュアル化)することができます。
マニュアルが確立されますと、標準的な作業について効率的な作業が可能となるとともに、歩留まり率も向上します。



Ⅲ 備 考

同様の効果が製造業やサービス業でも見受けられます。

例えば、飲食店で考えた場合、OPEN(開業)したばかりですとスタッフが大勢いても、何とか店を回せる程度ですが、時間が経つにつれて、接客能力や店舗運営の改善など様々な効率化を図ることが出来るようになり、オペレーションの無駄も減らせ、少数のスタッフでスムーズに店舗運営が出来るようになります。

これも経験曲線効果と考えられます。

また規模が小さな企業であるにもかかわらず、大企業に対抗してある製品市場で大きなシェアを占めているような場合は、多くの場合この経験曲線効果が関係していると考えられます。



他社に先駆けて積極的に投資を行って生産量などを増加させることで、コスト優位性を築いて、市場シェアを増加させ、高い収益を確保する戦略を取ることができるのです。

ただし製品や生産方法が頻繁に変更されるような場合や新技術が頻繁に採用されるという場合、経験曲線効果は働かなくなりますので注意が必要となります。





【 正味現在価値法 (NPV:Net Present Vaiue Method) 】







Ⅰ 概 要

・投資のプロセスで、最も重要で難しいのは投資案の評価と選択です。
この意思決定がうまくいけば好業績がもたらされます。
しかし、失敗したときには損失も大きくなり、企業の死活問題にもなり得ます。
しかも、一度投資がされると簡単には変更できないので慎重に判断することが求められます。

・正味現在価値法は投資によって、将来得られるキャッシュフローの全てを現在価値を割り引くことによって計算した現在価値合計から、初期投資額を差し引き、正味現在価値を求める方法。

・正味現在価値がプラスであるときは、その投資は価値を生み出していると判断します。

・また、複数の投資案がある場合は、正味現在価値が大きい案件ほど有利であると判断します。

・正味現在価値法は、現金の時間価値を考慮している点で優れており、現時点では最も利用価値の高い投資評価基準と考えられます。





Ⅱ 現在価値と将来価値

投資の評価では、お金の時間的価値を考える必要があります。

現在の100万円と将来の100万円の価値を考えてみます。
「今100万円もらえるの(A)」と、「1年後に100万円もらえる(B)」のでは、どちらに価値があるのでしょうか?

例えば、銀行金利が年利10%だったとすると、(A)は1年後には10万円の利息がついて、110万円となり(B)より10万円多くなります。

①現在価値への割引
現在価値は将来のお金を現時点の価値に換算したものです。

②現在価値の計算方法
1年後の110万円を、割引率10%で現在価値に割引くと100万円になります。

そこで現在価値に割引く計算式は
  

2年後の100万円の現在価値は約909,000円となります。
※下記の計算式参照









Ⅲ 正味現在価値の計算式

正味現在価値はフリーキャッシュフロー(FCF)の現在価値として計算します。

 例  題
 ・新規設備を300万円で購入
 ・この投資により3年間に渡って毎年100万円の
  キャッシュ・インフローを得ることができると予想される
 ・資本コストは10%とする

 計算(千円未満切捨)
  NPV=100万円×1÷(1+10%)=90.9万円(a)
    =90.9万円×1÷(1+10%)=82.6万円(b)
    =82.6万円×1÷(1+10%)=75.1万円(c)
    合計(a)+(b)+(c)=248.6万円
  NPV=248.6万円ー300万円=△51.4万円

  NPVがマイナス51.4万円なので、この投資すべきではないと判断します。




【 回収期間法 (Payback Period Method) 】







Ⅰ 概 要



投資額が何年で回収できるのかをキャッシュフローで求める方法。
回収期間が短いほど良いことなります。




Ⅱ 長所と短所



長所
①計算が簡単でわかりやすい。

短所
①投資額を回収した後のキャッシュフローを無視している。
②回収期間内のキャッシュフローの時間的価値を無視している。
③目標となる回収期間の決定方法があいまい。
※上記の内容で考えると「正味現在価値が小さくても、早く回収できる案件」と「正味現在価値は大きいが回収期間が長い案件」では、早く回収できる案件が選択されてしまうということも問題となります。





Ⅲ 計算方法





  例 題
 初期投資額(設備投資) : 3000万円
 キャッシュフロー(CF) : 3年間に渡り、毎年1000万円

 回収期間=3000万円÷1000万円
 回収期間は3年となります。

※初期投資額の内容を機械装置や居抜き物件と考えて利用します。
 当然、回収期間法の短所も考慮します。
 

 




【 ブレインストーミング (BrainStorming) 】






Ⅰ 概 要


ブレインストーミングとは、集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法です。
日本ではブレストと省略されることもあります。






Ⅱ ブレインストーミングの4原則


①結論厳禁:批評しない、結論を出さない
この原則は厳格に行うべきものです。 
自由なアイデア抽出を制限するような、批判を含む判断・結論は慎みます。 
参加者が批評を気にしてアイデア(意見)を出す行為を無意識に制限してしまうということは、何となく周りが求めるアイデアを探し出してしまい、本音を押し殺す結果になりかねません。 
もし、金の卵になりうるアイデアを持っている参加者がいても、批評を恐れ、そのアイデアを出さなくなる可能性もあります。 
アイデアの評価はブレストの役割ではありません。
アイデアを出した後の工程として別途時間をとって行うべきものです。 
ただし可能性を広く抽出するための質問や意見ならば、その場で自由にぶつけ合います。たとえば「人が足りない」と否定するのはこの段階では正しくないが、「人が足りないがどう対応するのか」と可能性を広げる発言は歓迎されます。 

②自由奔放:粗野なアイデアを歓迎する
誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方やユニークで斬新なアイデアを重視します。 
「現実的なアイデアを出す」ことが課題となっているような会議であれば、ブレインストーミングなど不要です。
手持ちの課題と解決策を並べて比較すればいいからです。 ブレインストーミングが必要なものの代表的なものとしては、新規事業などの企画があります。
 新規性のある企画や発明はたいてい最初は笑われる事が多く、そういった提案こそを重視することが重要です。
 自由に思いついたことを述べてもいいのだという場の空気を作ることが必須であり、そういった雰囲気を作ることが出来れば、ブレインストーミングは成功する可能性が高いと考えられます。

③質より量:質より量を重視する
単純にアイデアの量だけ追求するのではなく、様々な角度から、多くのアイデアを出します。
 一般的な考え方・アイデアはもちろん、一般的でなく新規性のある考え方・アイデアまであらゆる提案をします。
 始めから質の高いアイデアを出すことは難しいので、量を重ねることによって、次第に「量」が「質」に転換されます。
 無意識のうちに完成度の高いアイデアを出そうとしてしまうことで、結論を先読みした、ありきたりなアイデアばかりになってしまいかねません。 
様々な角度・視点からのアイデアの量を重視することで、これまで気にもしなかった解決策などがひらめくことがあるからです。

④結合改善:アイディアを結合し発展させる 
別々のアイデアをくっつけたり一部を変化させたりすることで、新たなアイデアを生み出していきます。
すでに出されているアイデアと自分の持っているアイデアを組み合わせることで、新しいアイデアが生まれるのです。 他人の意見に便乗することが重要です。




Ⅲ ブレインストーミングの進め方





(イ)司会者を決める
ブレインストーミングでアイデア出しを行う際、それを取り仕切る司会者の円滑な進行が不可欠になります。その役割は、4原則を守り、参加者がアイデアを出しやすい場を作ることです。

(ロ)参加メンバーを決める
メンバーを決める際、人数は3~10人が適切といわれています。
年齢、部署、性別、経験、ポジションなどを混ぜて選び、似たような属性を持つ人ばかりを集めないようにする必要があります。


(ハ)目的を決める
ブレインストーミングを行う前に、何について話すのかという目的を明確にすることが必要です。

目的を明確にしないと課題解決には何もつながらない無関係なアイデアばかりになります。

(ニ)制限時間を設ける
新しいアイデアを生むには、アイデア出しをする時間と、出たアイデアをまとめる時間の2つを別々に設けることが必要になります。
もし、何時間もアイデアを出す作業ばかり行っていると、参加者の集中力が切れてしまい、アイデア出しの生産性が落ちてしまいます。